夏野菜のパワーを借りて、暑さに疲れた身体を癒やす

星澤幸子の和食の力 第6回 夏野菜


野菜を食べることは、私たちの健康を支える上でとても大切です。さらに重要なのは旬の野菜を選ぶこと。
今が旬の夏野菜は、私たちの身体を内側から冷やしてくれる成分を多く含み、新陳代謝が高くエネルギーにあふれています。上手に食事にとり入れて家族の健康を守りましょう。


暖かくなるとアスファルトを突き抜けて生えてくるアスパラや大根のニュースを目にすることがあります。ほのぼのして私はとても嬉しい気持ちになるのですが、その生命力にはとてつもないものを感じます。

植物は生まれてから死ぬまで、その場を離れることはできません。様々な気象現象、大気の変化、動物の攻撃から、逃げも隠れもできないのです。だから植物はそれらの事態に対応するための特性や物質を持ち、また、それらを体内に取り込むことで動物も生かされています。

人の主食が穀物になってからは長い歴史があります。穀物を消化・分解・吸収・排泄するためには「酵素」や「ビタミン」が必要で、それらを植物、いわゆる生の野菜から摂って栄養にしてきました。体内で合成できない食物繊維や酵素、ビタミンは外から摂取しなくてはなりません。また、「薬」とは草を食べて楽になるという意味の漢字で、昔の人が病気や体調不良の時に、草を用いて治してきたことを雄弁に物語っています。

英語のDrug(薬)もDry Herb (乾燥したハーブ)からきていますし、漢方薬もほとんどが植物の根、葉、茎の生薬です。野菜を食べることは、人の健康を支えるうえで極めて大切であり、季節ごとに与えられる天からの恵みなのです。

夏野菜は身体を内側から冷やしてくれる

今回のテーマ「夏野菜」は、身体を中から冷やしてくれる成分を持っているのが特徴です。昔は冷房などありません。人々はすいかやきゅうりといった身体を冷やす野菜を食べることによって、体温調整をしてきました。

暑い夏に対処するように、植物自体も自ら暑さを調整する栄養や、強い直射日光に当たっても傷まないアントシアニン系の抗酸化成分、あるいはビタミンCやビタミンDを蓄えています。人はそれらを食することで夏のほてりや、体温上昇を抑制できているというわけです。

また、なすやみょうが、オクラやアスパラなどの夏野菜は成長が早いのも特徴です。暑さで疲れた私たちには、新陳代謝が高くエネルギーにあふれた野菜を摂ることが必要なのです。

ただ気をつけたいのは、今ではそれらの食材が、季節に関係なく流通しているということです。今、畑で元気に成長している野菜は何かということを把握し食材を選ぶ力は、母から子へ、そして孫へと受け継がれてきました。

家族いっしょに過ごす時間が減ってきている現代ですが、こんな時代だからこそ、大切な家族が「旬」の美味しさを舌と身体で感じてくれるように、できるだけ手作りをして食事を楽しみ、食材を選ぶ力を子どもたちに伝えていきたいものです。

≪夏野菜のにぎり寿司≫

~身体に嬉しい精進寿司を彩りよくとり合わせて~

【材料】(作りやすい分量)

米2合/焼きのり1/4枚/みょうが2個/長いも50g/ズッキーニ1/4本/生しいたけ2枚/ミニトマト4 個/パイロゲン大さじ1杯
【調味料】酢大さじ4杯/てんさい糖大さじ2杯/塩小さじ1杯
・みょうが用:酢大さじ2杯/てんさい糖、水各大さじ1/2杯
・ズッキーニ用:塩/少々/白ごま少々
・生しいたけ用:しょうが1片
・ミニトマト用:おろし山わさび適量

【作り方】

  1. 米は炊く30分前にとぎ、分量の水を入れて炊飯器にセットします。炊く直前に調味料を加えてひと混ぜして炊きます。炊き上がったらすぐにヘラ返しをして冷まします。型を使ってひと口大のにぎりを20個作ります。
  2. みょうがは縦半分に切り、軽く茹でてから、合わせた調味料に30分程浸します。水気を切り、形を崩さないように千切りにします。にぎりの上にのせ、細く切ったのりを巻きます。
  3. 長いもは皮をむき、長さ3~4cmの千切りにします。にぎりの上にのせ、細く切ったのりを巻きます。
  4. ズッキーニはにぎりの長さに合わせて切り、縦半分に切って塩をしてしんなりさせます。半ずりにしたごまをふって、にぎりの上にのせ、細く切ったのりを巻きます。
  5. 生しいたけは縦半分に切り、少量の油で蒸し焼きして、斜め3つ切りにします。にぎりの上にのせ、しょうゆをまぶしたおろししょうがをのせます。
  6. ミニトマトはヘタを取って薄切りにします。にぎりの上におろし山わさびをのせ、その上にトマトをのせて軍艦巻きにします。
  7. 時間が経っても乾かないように、そして長持ちするように、でき上がり全体にパイロゲンをスプレーします。

≪アスパラのくるみ天ぷら≫

~美味しさがより高まる逸品です~

【材料】(作りやすい分量)

アスパラ8本/小麦粉少々/揚げ油適量/塩少々
【天ぷらの衣】くるみ30g/小麦粉、片栗粉各大さじ4杯/水大さじ5杯/パイロゲン小さじ1杯【調味料】醤油、ごま油、酢大さじ各1杯/パイロゲン小さじ1杯

【作り方】

  1. アスパラは皮むき器で根元の硬い皮を薄くむきます。くるみは粗みじん切りにします。
  2. 小麦粉、片栗粉に水とくるみとパイロゲンを入れてサックリ混ぜます。
  3. アスパラに小麦粉をまぶしてから衣をつけて中温の油でカリッと揚げます。アスパラの皮も小麦粉をまぶして残った衣を絡め、食べやすい大きさにして、かき揚げのように揚げます。
  4. 器に盛り、塩を振っていただきます。

≪ゴーヤと豚肉の味噌炒め≫

~身体の調整を図りながらスタミナをつけて~

【材料】(作りやすい分量)
ゴーヤ1本/塩小さじ1杯/豚もも薄切り肉100g/にんにく、しょうが各1片/米油大さじ1杯
【調味料】味噌、酒、水各大さじ1杯/てんさい糖、豆板醤各小さじ1杯/パイロゲン小さじ1杯

【作り方】

  1. ゴーヤは縦半分に切ってワタを取り薄切りにします。分量の塩をまぶして塩もみし、しんなりしたら水洗いします。
  2. 豚肉は3等分にして繊維に沿って千切り、にんにくは潰して小口切り、しょうがは千切りにします。調味料は合わせておきます。
  3. フライパンに米油を熱してにんにくとしょうがを炒め、香りが立ったら豚肉を炒めます。火が通ったらゴーヤと調味料を加えて絡めるように炒めます。

≪夏野菜の揚げ浸し≫

~手軽に作り置きできて重宝なごちそう~

【材料】(作りやすい分量)
なす1本/ささげ3本/ズッキーニ1/2本/ピーマン1個/ミニトマト4個/オクラ4本/揚げ油適量
【漬けダレ】水カップ1杯/しょうゆ、みりん各大さじ3杯/パイロゲン小さじ1杯/かつお節ひとつかみ/赤唐辛子1本

【作り方】

  1. なすは縦半分にしてからかくし包丁をして斜めに4つ切り、ささげも筋を取って斜めに4等分します。ズッキーニ、ピーマンはひと口大に切ります。ミニトマトはへたを取り、オクラは塩でいたずりします。
  2. 鍋に漬けダレの調味料とかつお節を入れて火にかけ、2分ほど煮てから漉して、赤唐辛子を加えます。
  3. 中温の油に野菜を1種類ずつ入れて色よく火を通し、漬けダレにつけて、冷めるまでおいて味をしみこませます。漬けダレをたっぷり注いでいただきます。

≪山梨県の郷土料理 だし≫

~細かく切りそろえるのがごちそうです~

【材料】(作りやすい分量)
きゅうり中1本/塩少々/なす中1本/みょうが5個/しょうが1片/オクラ4本
【めんつゆ】水カップ1杯/しょうゆ、みりん各カップ1/4杯/パイロゲン小さじ1杯/かつお節ひとつかみ

【作り方】

    1. 鍋に分量の水、調味料、かつお節を入れて火にかけます。沸騰したら1~2分コトコト煮て、漉して冷まします。
    2. きゅうりは塩でこすり洗いをしてからみじん切り、なすはみじん切りにして水に浸し、何度も水を替えてアク抜きします。みょうが、しょうが、オクラもみじん切りにします。
    3. 器に野菜をそれぞれ盛り、好みの量のめんつゆをかけていただきます。ご飯や豆腐にのせても美味しくいただけます。

星澤幸子(ほしざわ さちこ)さん

料理研究家。北海道南富良野町生まれ。札幌テレビ「どさんこワイド」の料理コーナー「奥様ここでもう一品」に25年毎日出演し、北海道の素材にこだわったお手軽な料理を紹介。その出演回数は現在もギネス記録を更新中。2009年「東久邇宮文化勲章」を受賞。著書は『あなたに贈る食の玉手箱』(ワニ・プラス)他多数。

星澤クッキングスタジオ公式サイト
http://www.hoshizawa-s.com

 

 


2017年7月発刊『BOSCO 19号』掲載記事
撮影/大滝恭昌