対談 赤塚耕一×大野耕生さん

バラは美しく、楽しく、奥深い花。
私はその魅力を広める案内人です。

今回のゲストは、全国のフラワーガーデンでバラの栽培や植栽、ガーデンデザインなどのプロデュースをはじめ、バラの栽培方法や楽しみ方を広く一般に伝える活動を精力的に行っているローズスタイリストの大野耕生さん。自身の活動やバラに対する思いを、大野さんが手がけた軽井沢レイクガーデンでお聞きしました。

『BOSCO TALK』
赤塚耕一 × 大野耕生さん(ローズスタイリスト)


赤塚 ローズスタイリストという、バラを扱うお仕事のイメージ通り、とてもおしゃれな方ですね。聞くところによると、ガーデンで作業をするときも、そうしたおしゃれな服装のままだとか。

大野 そうですね。花の栽培や園芸作業というのは、作業着やエプロンをつけてと完全装備してからするものというイメージが強いでしょう。そんな固定概念を覆したいんですね。花の栽培って、わざわざ着替えなければできないような面倒なことではないはず。だから僕は、土いじりをするときもあえてこの格好です。好きな服を着て楽しめばいいんです。

赤塚 花の栽培は普段着のままで楽しむことができる、もっと身近なものということですね。

大野 そうなんです。たまに、こういうストールなどがトゲに引っかかることもありますが(笑)、それでもいいんですよ。

大野さんのわかりやすい説明で、バラの魅力を再認識する人が多いという。

赤塚 バラづくりは「難しくて敷居が高い」と思われがちですが。

大野 みなさんそういうイメージをお持ちですが、決して難しくはありません。基本的な知識さえ持っていれば誰にでも育てることができます。ただ、初心者の人ほど難しく考えがちなんですね。いきなり上級者のように、品評会に出すような完璧な花を咲かせようと思ってしまう。でも、いちばん大事なのは、まず“バラづくりを楽しむ”ことなんです。

バラの魅力は無限大。
育てるだけ、咲かせるだけでなく、
もっと広い楽しみ方を知ってほしい。

赤塚 確かに虫がついたり病気になったりと、バラ栽培は手間がかかるのも事実。でもそのことだけにとらわれすぎると、美しいバラを見たいという純粋な目的が、「あれもしなきゃいけない、これもしなきゃダメ」という義務になってしまう。それではせっかくの楽しみも薄れてしまいますよね。

大野 楽しみが義務になると、人は花を見ずに葉ばかりを見るようになります。虫がついていないか、斑点が出ていないかと、葉のほうが気になって、花を見る余裕がなくなってしまうんです。

赤塚 それこそ本末転倒ですね。

大野 バラは言われているほど弱い花ではありません。大切に育てるのは当然ですが、病気になっても虫がついてもある程度は想定内。すべてが枯れなければOK、くらいの余裕を持ってほしいですね。

大野さんおすすめのバラの香りを楽しむ赤塚社長。心が癒されて幸せな気分になってくる。

バラの栽培から学ぶ大切なこと

赤塚 大野先生は今、子どもたちにバラの魅力を伝える活動もされているとお聞きしましたが。

大野 はい。例えば、福島の小学校でバラを植えたり、ドライフラワーの作り方を教えたりするボランティア活動もそのひとつです。

赤塚 欧米のように身近に花や植物があるライフスタイルが根付いてくれば、子どもたちもそこから、たくさんのことを学べますね。

大野 トゲがあって危険だからと子どものバラ栽培は、親御さんから敬遠されがちなんですね。でも、トゲがあるからこそ身をもって知ることができる“痛み”もあります。それも教育だと思うんです。

赤塚  ちょっと痛い思いもしながら育てたバラだからこそ大事にする。そうした体験も、命の大切さを知ることにつながりますよね。毎日の暮らしのなかで土に触れ、水に触れて植物を育てる。「人と自然と命のつながり」を大切にして、自然とともに暮らす素晴らしさを世界に広めたいというのは、私ども赤塚グループが掲げている理念です。大野先生のバラへの姿勢やそうした取り組みからは、私たちと同じ強い思いが伝わって、強い共感を覚えます。

大野  よく言うんですよ。「バラのトゲは痛いけれど、それはバラがあなたを“もう少し見てほしい”と呼び止めているんです」って。だからチクリとしたら、もう一度そのバラを見てあげてください。そうすればバラも喜ぶし、見落としていた変化や気づかなかった美しさに出合えるかもしれません。

赤塚 大野先生の、人に接するようにバラに接する姿勢に、とても感銘を受けました。栽培の知識や技術以上に、そうした愛情が何よりも大事なのですね。

人に接するようにバラに接する。
大切なのは、知識や技術ではなく、
何よりもバラへの深い愛情なのですね。

大野 ローズスタイリストという仕事は「バラっていいよ」「バラはもっと気軽に楽しめるんだよ」という、バラへの興味の入り口に多くの人をお誘いすることです。“バラの貴公子”という愛称をいただきましたが、本当はバラの案内人なんですよ。

赤塚 育て方だけでなく、バラの楽しみ方、バラのある暮らしの提案も積極的にされていますね。

大野 花を咲かせることだけがバラ栽培ではありません。ポプリをつくる、水に浮かべて飾る、入浴剤やバラ風呂にするなど、バラには多彩な楽しみ方があります。その無限大の魅力をもっともっと知ってほしいですね。

赤塚  おっしゃる通りですね。バラや植物を育て、楽しみ、自然の素晴らしさに触れることで、人々の心や暮らしはもっと豊かになるはず。それは今の日本社会にもっとも必要とされていることなのかもしれませんね。私たち赤塚グループも、人と自然の絆を深める取り組みをより積極的に進めていこうと思います。今日はありがとうございました。

軽井沢レイクガーデンをのんびり散策しながら、バラ談義に花を咲かせるふたり。

無名だった品種を自身で日本に紹介したという『ローズ・ポンパドール』(左)、グラマラスな花姿が魅力の『ジュード・ディ・オブスキュア』(右)。どちらも大野さんの思い入れが深い品種。


大野耕生(おおの・こうしょう)さん

ローズスタイリスト、バラ栽培家。バラの奥深い魅力と無限大の可能性を伝えるために精力的な活動を続けている。園芸界では・バラの貴公子・の愛称で絶大な人気を誇る。NHK『趣味の園芸』などメディアにも数多く出演し、書籍執筆・監修も多数。DVD『バラのある暮らし』も好評発売中!
◆大野耕生さん公式サイト ≪http://www.rose-stylist.com


◎軽井沢レイクガーデン
今回、対談の舞台となったのは、豊かな自然に包まれたバラと水辺の庭園『軽井沢レイクガーデン』。
大野さんはバラの植栽デザインプロデュースのほかトークショーなどにも出演されています。
●住所:長野県北佐久郡軽井沢町レイクニュータウン
TEL 0267-48-1608
●開園期間(2014年):11月3日(月・祝)まで
●営業時間:9:00~17:00(入園は閉園の30分前まで)
●入園料:大人 1000円 小・中学生 500円

※営業時間、入園料はBOSCO掲載当時のものです。詳しくはお問い合わせを。
http://www.karuizawa-lakegarden.jp/


2014年10月発刊『BOSCO 8号』掲載 BOSCO TALK
撮影/野呂英成 写真提供/赤塚グループ 取材・文/柳沢敬法