日本人と海藻のきっても切れない深~い関係

星澤幸子の和食の力 第5回 海藻


四方を海に囲まれた日本で魚、貝類と並ぶ海の幸である海藻は、和食にとって大切な食材です。出汁をとる昆布、味噌汁の具わかめ、そのほかさまざまな料理に海藻が使われています。
栄養面でも世界的に注目が集まる海藻を、もっと食生活に取り入れるためのレシピを紹介します。


古から日本人の健康を支えてきた要素の一つに、海藻類を食べる習慣があります。海藻の種類は多岐にわたりますが、とくに注目すべきものに褐藻類の昆布、ひじき、もずく、わかめ。紅藻類の浅草海苔、天草(寒天の材料)。緑藻類の青さ海苔、青海苔、海ぶどう等があげられます。これら海藻類は海の中で光合成を行い、海中林と呼ばれる森を作り、魚や貝などの産卵、成育、生活の場となるなど、海の環境を良くして、生物を絶やさない役割も担っています。

海藻は食物繊維、ミネラル、ビタミン、鉄分の宝庫であり、しかも低カロリー。昆布に含まれるミネラルは牛乳の約23倍、カルシウムは約7倍、鉄分は約39倍にもなります。肥満防止やデトックス効果も期待できるので、健康志向のなか世界的に注目されています。

水溶性食物繊維の主成分は「フコイダン」と「アルギン酸」。これは昆布や海藻のネバネバの成分で、とくにがごめ昆布は真昆布と比べて2倍のフコイダンが含まれています。この成分はガンに対しての効果が証明されていますし、免疫力向上、血糖値上昇抑制効果もあると言われており、毎日食べることが大切ですね。

日本人は体に必要な昆布を「喜ぶ・ヨロコブ」という言葉にかけてその大切さを言い伝え、縁起物として大事にしてきたのです。

日本人の腸だけが海藻を分解・吸収できる

近年、イギリスの医学雑誌に、日本人の腸が海草に含まれる多糖類を分解できるのは、分解酵素を作る遺伝子を、腸内に住む細菌が海洋性の微生物から取り込んでいるためだとする論文が発表されました。バクテロイデス・プレビウスという腸内細菌が、同じ酵素を作る遺伝子を持っていることがわかったのです。このバクテリアはこれまで、日本人からしか見つかっていないようです。

かつて日本人は海苔を焼かずに食べていたため、海草に付着していたバクテリアからこの遺伝子が取り込まれたものと考えられています。

自然からいただく食物は、そこに住む人々にとって長い歴史のなかで必要不可欠なものです。四方を海に囲まれた日本の伝統食材である海藻を活用し、価値ある人生の充実を図りたいですね。

≪ひじきのかき揚げ≫

~手軽にカリッと、ひじきの力、再発見~

【材料】(作りやすい分量)

ひじき(乾燥)25g/にんじん30g/ピーマン小1個/揚げ油適量/小麦粉大さじ5杯/水大さじ2杯/パイロゲン小さじ1杯/かつお節ひとつかみ/塩少々

【作り方】

  1. ひじきはぬるま湯で戻して水気を切り、にんじん、ピーマンは3cmの長さの千切りにします。
  2. ボウルにひじき、にんじん、ピーマン、細かく揉んだかつお節を入れて混ぜ、小麦粉を全体にまぶしてから水とパイロゲンを加えてサックリ混ぜます。
  3. 木べらの上に・を平らにのせ、160℃に熱した油に滑らせながら入れます。固まったら一度返してカリッとなるまでゆっくり揚げます。
  4. 器に盛って塩を振ります。

≪春の海藻サラダ≫

~海の幸、山の幸、春の仲間が体に活力を~

【材料】(作りやすい分量)

生ワカメ50g/水菜1束/糸寒天ひとつかみ/桜エビ10g/白ごま大さじ1杯
【調味料】醤油、ごま油、酢大さじ各1杯/パイロゲン小さじ1杯

【作り方】

  1. 生ワカメは茎を取って食べやすい大きさに切り、サッと湯通しします。水菜は3~4cmの長さに切ります。糸寒天は水で戻してしぼります。調味料は合わせておきます。
  2. 食べる直前にボウルで材料と調味料とパイロゲンを和えていただきます。

≪しめサバのとろろ昆布巻き≫

~しめサバがとろろ昆布にくるまってご馳走に~

【材料】(作りやすい分量)
しめサバ2尾/とろろ昆布20g/甘酢生姜20g/青しそ6枚/パイロゲン霧吹き少々

【作り方】

  1. しめサバは皮を剥き、パイロゲンを吹きかけます。一枚の身の上に青しそを敷き、その上に甘酢生姜を広げ、さらに青しそを並べて上に〆鯖をかぶせます。
  2. 周りにとろろ昆布を薄く広げて全体を包みます。
  3. ラップにきっちり包んでしばらく置いてなじませ、崩れないよう6~7ミリの厚さに切って盛り付けます。

≪昆布チップス・クリームチーズディップ≫

~こんなおつまみ初めて!大感激の昆布のもてなし~

【材料】(作りやすい分量)
だし用昆布(日高昆布等)30cm2本/揚げ油適量
【ディップ】クリームチーズ100g/はちみつ大さじ1杯/クルミ、レーズン各15g/パイロゲン小さじ1杯/一味唐辛子少々

【作り方】

  1. だし用昆布は直火もしくは蒸気に軽く当てて温め、ハサミで3~4cmの三角になるように切ります。クルミは軽く炒って粗みじん切りにし、レーズンはサッと湯通しして細かく切ります。ディップの材料を混ぜ合わせ、器に入れてスプーンを添えます。
  2. 油を180℃に熱し、昆布をカリッと揚げて油を切ります。
  3. 揚げた昆布にディップをたっぷりつけていただきます。

≪もずくの寒天寄せ≫

~お祝いやお弁当にも重宝な食べやすいもずくです~

【材料】(作りやすい分量)
もずく100g/三つ葉20g/生姜1片/長芋50g/だしカップ1杯/粉寒天4g/みりん大さじ1杯/醤油大さじ1杯/酢大さじ1杯/塩少々/パイロゲン小さじ1杯

【作り方】

    1. だしに粉寒天と調味料とパイロゲンを入れて火にかけ、沸騰したら火を止めます。三つ葉は水に浸してパリッとさせてから3~4cmに切り、生姜、長芋は千切りにします。
    2. 寒天液にもずく、三つ葉、生姜、長芋を入れて均一になるように混ぜ、四角の型に流して冷やし固めます。
    3. ひっくり返して取り出し、食べやすい大きさに切ります。

星澤幸子(ほしざわ さちこ)さん

料理研究家。北海道南富良野町生まれ。札幌テレビ「どさんこワイド」の料理コーナー「奥様ここでもう一品」に25年毎日出演し、北海道の素材にこだわったお手軽な料理を紹介。その出演回数は現在もギネス記録を更新中。2009年「東久邇宮文化勲章」を受賞。著書は『あなたに贈る食の玉手箱』(ワニ・プラス)他多数。

星澤クッキングスタジオ公式サイト
http://www.hoshizawa-s.com

 

 


2017年4月発刊『BOSCO 18号』掲載記事
撮影/大滝恭昌