対談 赤塚耕一×赤塚充良×ジョン・ミルズさん

水を変えることで世界が変わる。
FFCの可能性を確信しています。

赤塚グループは世界トップレベルの名門大学、アメリカのハーバード大学と、長年にわたってFFCテクノロジーに関する共同研究を行ってきました。今回のゲストは、いち早くFFCの可能性に着目し、共同研究に尽力されたハーバード大学のジョン・ミルズ先生です。FFCを世界レベルで普及させるために必要なことは何か。赤塚充良会長も参加しての鼎談となりました。

『BOSCO TALK』
赤塚耕一 × 赤塚充良 × ジョン・ミルズさん(ハーバード大学)

2017年10月発行『BOSCO 20号』掲載 BOSCO TALK


ミルズ先生を囲むスリーショット。ミルズ先生は日本語がとても流暢で、今回の鼎談も通訳なしで行われた。

赤塚 この度はわざわざ三重までお越しいただきありがとうございます。ミルズ先生と赤塚グループとは、もう14年もの長いお付き合いになりますね。

ミルズ そうですね。共通の友人を介して赤塚充良社長(現会長)を紹介されたのが2003年のことです。会長に招かれて私はここ、赤塚グループ本社やユートピアファームなどの施設を訪れ、初めてFFCテクノロジーの存在を知ったのです。そこで錆びないクギ、腐らないお米といった素晴らしい実証事例を目の当たりにして大きな驚きを覚えました。

会長 そのあと先生を温泉にお連れして、二人でお風呂につかりながら、2時間くらいFFCの話をしたんです。先生は日本語がとても流暢でいらしたので。でもしゃべっていたのは、ほとんど私。先生はずっと聞き役でしたね(笑)。

ミルズ そうでした(笑)。そこで会長の夢や理念などをお聞きして感動し、改めてFFCという技術への関心を強くしたのです。

赤塚 裸の付き合いが私どもと先生を結びつけたのですね。

ミルズ はい(笑)。私自身は研究者ではなく、政治経済や社会科学が専門です。そこで「FFCはハーバードでの研究に値する非常に興味深い題材」と確信した私は、赤塚のみなさんをアメリカにお招きして研究者たちにFFCの存在とともに紹介しました。そして2004年、共同研究という形で私たちの交流が始まったのです。

いいものだから研究したい。
いいものだから広めたい。
FFCという素晴らしい技術を
世界中の人に知ってほしいですね。

会長 2004年といえば『愛・地球博』の前年。2005年に同じ愛知県でFFCに関する大々的な国際フォーラムを行うことになったのですから、出会いも運命的なタイミングでしたね。

赤塚 ハーバードといえば世界でもっとも優秀な大学です。その方々がFFCに関心を持ってくださり、いっしょに研究をしていただけることがとてもありがたく、誇らしかったですね。

ミルズ FFCの効果を最初に知ったときは純粋な驚きだったのですが、共同研究を重ねて知るほど、その技術の素晴らしさと有益さを実感しました。この技術ならば、あらゆる分野で幅広く活用できる。水を変えることで世界を変えることができる。そうした可能性を確信したんです。

赤塚 9年間という契約期間のなかで共同研究が行われ、FFCに関するより深い解析とその科学的根拠の追求が進められました。研究契約が終了した現在でも、ハーバードの研究者の方々とは事あるごとに研究レポートや情報の共有など、継続した交流をさせていただいています。これからはいいものだから研究したい。FFCをどのように世界レベルに広めていくのかが大きな課題になっていくでしょう。これまでの共同研究成果の蓄積、ハーバードの研究者との交流は、そのための大きな原動力になっていくと、私は確信しています。

FFC国際フォーラム2009で特別講演をされるミルズ先生。

農場見学で会長(当時は社長)の説明に聞き入るミルズ先生。

地道な事例の蓄積こそ世界への普及の近道

ミルズ 日本国内ではFFCの普及も広まりつつあり、その驚くべき実証事例も数多く報告されています。しかし海外へ向けての普及という点では、まだまだ課題が多いだろうと思っています。

会長 そうですね。いま日本国内では約1000社の企業がFFCを導入し、それぞれに素晴らしい成果を出しています。でも世界全体にその流れを広げていくのはなかなかに難しい取り組みです。

ミルズ そのために私が協力できるのは、まずハーバードとの共同研究による成果を持って、世界のさまざまな企業や組織、団体にFFCを紹介することなんですね。

赤塚 ミルズ先生が赤塚と世界とをつなぐコーディネーターとしての役割を担ってくださるということですね。

ミルズ ええ。例えば、これはまだ検討段階ではありますが、アジアのある国に、ハーバードのOBを創業者に持つ木綿栽培を行っている企業があるのですが、そこにFFCを紹介・導入するという計画もあります。

実証事例の積み重ねと
ハーバード大学との共同研究が、
FFCを世界に普及させるための
大きな説得力になっているのです。

赤塚 世界のあちこちの国々で地道に信用できる導入先を見つけ、そこでコツコツと実証事例を積み重ねていく。その成果を知っていただくことで、その国でFFCの評価を高めていく。それが遠回りのようで、実はいちばん確実な普及方法なのですね。

ミルズ また、規制が厳しい海外ではFFCを広める際にも相応のやり方があります。例えば、さきほどお話した木綿栽培のように、食品や飲料など口に入れるもの以外の分野から導入を進めていくといった対処が必要になってくるんですね。その国にはその国での広め方がある。そうした意識を持つことも大事だと考えます。

会長 おっしゃるとおりですね。いずれにしても、そうした海外に向けての普及活動を進めるには確固たる研究成果の裏付け、そして海外での幅広いネットワークが欠かせません。そうした面でもミルズ先生は、私どもの心から信頼できるパートナーだと思っています。

FFCを使った農業に挑戦する桐山秀子さんの玉ねぎと早坂隆顕さんのほうれんそうに驚くミルズ先生。

一人の健康から地球の未来まで

会長 改めてお聞きしたいのですが、FFCテクノロジーの可能性について、ミルズ先生はどのようにお考えなのでしょうか。

ミルズ FFCは水を変える技術。そのメリットは大きく2つあると私は考えています。ひとつは「水を汚染から守る効果」です。FFCによる水資源の改善や保全は、そのまま生命や環境を守ることに直結します。そしてもうひとつは「水の使用量が減る効果」です。肉を多く食べる食生活が広がり、肉の生産に必要な水の量も増えていますし、汚れた水を再生できれば水全体の使用量を減らすことができます。これは経済的にも大きなメリットでしょう。

会長 生命と環境と経済、すべてに利点があるということですね。

ミルズ そのとおりです。水は命の源。その水を変えて、人の健康から地球環境まで、すべてにおいて有益な成果をもたらす素晴らしい技術だと思いますね。

赤塚 「一人の健康から地球の未来まで」は私どもの企業理念そのもの。先生にそうおっしゃっていただけると、とても心強いです。

ミルズ 私が赤塚グループとハーバードとの共同研究のコーディネートをしたのも、FFCを目の当たりにして“いいもの”であるという確信があったからです。だからこそもっと深く研究したい、もっと多くの人にパイロゲンを飲んで、FFCを使って、そのよさを実感してほしいと考えたんですよ。

ハーバード大学との共同研究は
FFCの大きな裏付けになる。
ミルズ先生は私たちにとって
心から信頼できるパートナーなのです。

赤塚 赤塚グループとハーバードはお互いに認め合った“相棒”のような存在。私たちの取り組みはこれからが本番です。ミルズ先生には、今後とも変わらぬお力添えをいただきたく思っております。今後ともどうぞ、よろしくお願いいたします。

会長 14年前のあの“温泉会談”が世界を変える―。そんな夢を実現させたいですね。

ミルズ そうですね。私もFFCが世界中で活用される姿をぜひ見たいと思っています。こちらこそよろしくお願いします。

赤塚 本日はお忙しいなか、どうもありがとうございました。

本社に隣接する『FFCミュージアム』に展示されているのは、ハーバード大学の総長から贈られた感謝状とカップ。非常に貴重なもので、ハーバード大学におけるFFC共同研究の重要さがうかがえる。

『FFCミュージアム』で活用事例を表したジオラマを見学。

鼎談後に『朝津味』のフードコートで談笑する3人。


ジョン・ミルズ(Jon D. Mills)さん

日本語や日本文化に造詣が深く、赤塚グループの理念に賛同し、ハーバード大学アジアセンターのマネージャーとして、2003年以降FFC研究プロジェクトチームの調整役など中心的に活躍した。FFCの将来への可能性や重要度を認識し、研究者同士の意見交換や研究成果の発表の機会を設けるなど、積極的に相互のコミュニケーションを図る。現在も赤塚グループにとって欠くことのできない重要なパートナーとして尽力している。


取材・文/柳沢敬法 撮影/高橋聖人