十四歳が
爆弾を着るパレスチナにも
春は来るらし アーモンドの花 ― 黒木 三千代(くろきみちよ)
【現代訳】
戦争や紛争が続き、わずか14歳が爆弾を付けて、敵と向き合わざるをえないようなパレスチナにも春が来ているようだ。桜や桃にも似たアーモンドの花が咲きはじめている。
心に咲く花 100回 アーモンドの花
先日、淡路島の伊弉諾神宮(いざなぎじんぐう)を訪問した際、全国の神社にアーモンドの苗を寄進している会社があることを知りました。ナッツの会社です。亡き御主人の思いを受け、今は会社を引き継いだ奥様が継続されていらっしゃる取り組み。その方から、アーモンドの花の写真を見せてもらう機会がありました。桜にも桃にも似た、かわいらしい花が咲いています。
アーモンドはバラ科サクラ属なのだと知り納得いたしました。アンズ、梅にも似た花は新たな季節の到来を告げるような、可憐な雰囲気をもたらしていました。
アーモンドといえば堅いナッツのイメージがありましたが、こんなにも柔らかで優しい花を付けるなんて……。私はすっかり、アーモンドの花に魅了されました。
樹高8m程にもなる落葉高木のアーモンド。
原産地はアジア西南部だと語られます。南ヨーロッパやオーストラリアなどでも栽培され、日本では小豆島や鹿児島、山形県などで栽培がおこなわれています。
掲出歌は、歌集『クウェート』で、イラクのクウェート侵攻を詠んだ歌が話題となった作者の作品です。掲出歌の作者は、パレスチナに暮らす14歳をこの歌のように詠み、アーモンドの花を「希望」の萌芽としたのでしょうか。
食品の中でもビタミンEが多く含まれ、老化予防や悪玉コレステロールの酸化抑制、心臓病や糖尿病の予防に役立つと言われているアーモンド。ポリフェノールを多く含む食材としても知られます。
この栄養価が豊富なアーモンドの美しい花を詠むことによって、作者は現地の人々の暮らしがどうか改善されるように、と願ったのではないでしょうか。
アーモンドの花言葉は「希望」「真実の愛」です。美しさの中にもあたたかみのあるアーモンドの花が世界じゅうに花開く日々を願っています。「希望」という花言葉の苗木を各地に寄贈されるかたがたの優しさに敬意と感謝の気持ちを表しながら。
田中章義(たなか あきよし)さん
歌人・作家。静岡市生まれ。大学在学中に「キャラメル」で第36回角川短歌賞を受賞。2001年、国連WAFUNIF親善大使に就任。國學院大學「和歌講座」講師、ふじのくに地球環境史ミュージアム客員教授も務める。『世界で1000年生きている言葉』(PHP文庫)の他、歌集『天地(あめつち)のたから』(角川学芸出版)、『野口英世の母シカ』(白水社)など著書多数。
★こちらの記事もご覧ください★
【BOSCOトーク】対談 赤塚耕一×田中章義さん









