2025年10月- 11月 節約、されど食べ応えレシピ

星澤幸子の和食のチカラ 2025年10月- 11月 節約、されど食べ応えレシピ


「節約・食べ応え・栄養価」三拍子そろったスタミナメニュー

前回は新米が出回るシーズンで、例年恒例の「ご飯を楽しむ」レシピをご紹介しました。その中で、お米の価格が高騰を続けていることに触れましたが、値上がりしている食材はお米だけに限りません。卵や乳製品、野菜、果物、お肉、さらにはさまざまな加工食品など、じつに数多くの食品の値上がりが続いています。スーパーなどでのお買い物のたびにため息が出てしまう方も多いと思います。お財布の中身と相談しながら日々の献立を考える立場の方であればなおさらのことでしょう。
一人暮らしで、外食頼みの方々も、例外ではありません。材料の仕入れ価格や光熱費、人件費の高騰で、外食産業でも度重なる値上げが進行中です。

ただ、生産者の方々のことも考える必要があります。たとえば、相変わらず価格面での超優等生である「もやし」ですが、中国から輸入している原料の大豆が高騰するなどで、現状の価格では生産者の方々の利益確保が難しくなっているそうです。かといって10~20円程度でも価格に転嫁すると、買い控えが起きて売り上げが落ちてしまうのだとか。そんな報道を目にしたことがあります。

近年、「食糧安全保障」という言葉をよく耳にするようになりました。食糧の自給率がカロリーベースだとわずか38%(2023年度)という日本。何らかの国際紛争などのトラブルが起きて海外からの輸入がストップしてしまったら・・・・・・。そう考えると、現状はまさに薄氷の上を歩いているように感じてしまうのは私だけではないでしょう。だからこそ、生産者の方々を守り増やし、さらに安全・安心な食材を、適切なお値段で届けてもらうことによって消費者も守る、農政に関わる人たちにはそんなスタンスを大切にしてほしいと思います。

とは言いつつ、お給料や収入が、まだまだ物価の高騰に追い付いていない状況です。そこで今回は、家計にやさしい節約レシピを考えてみました。節約しつつも食べ応えあり、そこがポイントです。しかもタンパク質を中心に栄養面でも合格点だと自負しています。

まず一品目は、「ころころニンニクのカレーパエリア」です。疲労回復やスタミナ増進に効果大のニンニクや豚肉を使い、さらに食欲をそそるカレー味に仕上げたパエリアです。豚はコマ切れ肉、そしてお値段安定のシメジをふんだんに使います。
このパンチの効いた主食兼主菜に合わせるのが、サッパリしていて、しかも栄養満点の「塩豆腐とトマトのサラダ」です。トマトのお値段はやや高くなっているようですが、家計にやさしいお豆腐とカイワレ大根をふんだんに使っています。植物性タンパク質の塊であるお豆腐に、ビタミンCやビタミンE、体内でビタミンAに変換されて免疫を上げる効果があるβカロテンを豊富に含むトマトとカイワレ大根が加わって、低カロリー&ヘルシーなのに栄養価と満足度が高いサラダになりました。

物価高騰を嘆いているばかりではなく、「節約」・「食べ応え」・「栄養価」、これらのハードルをクリアするレシピを考えてみることに、新たな楽しさを見出してみたいものです。


カレーとニンニクの風味が食欲をそそる
ころころニンニクのカレーパエリア

【材料】(2人分)

米 1.5合
ニンニク 1玉
豚コマ切れ肉 100g
カレー粉 大さじ1杯
酒 大さじ1杯
シメジ 1パック
バター 大さじ1杯
パセリのみじん切り 少々

【調味料】
米をひたした水 カップ1杯
塩 小さじ1杯
パイロゲン キャップ1杯(約5.5ml)

【作り方】

  1. 米は30分前に研いで、ひたひたの水にひたしておきます。ニンニクは、皮をむいて根の部分を切り落とします。豚肉は一口大に切って、カレー粉と酒をまぶしておきます。
  2. 熱したフライパンにバターを溶かし、ニンニクを焼き、香りが立ったら豚肉を入れてほぐし、シメジを加えて混ぜます。
  3. 米の水を切って②に加えて混ぜます。米の表面が透き通るようになったら、米をひたしておいた水をカップ1杯入れ、塩とパイロゲンを加えて混ぜます。
  4. 沸騰させて軽く混ぜながら水分を吸わせ、材料を均等に散らし、フタをしてとろ火で20分、火を止めて10分置きます。取り分けて、パセリのみじん切りをあしらいます。
豚コマ肉は一口大に切って、カレー粉をまぶしておきます。

豚コマ肉は一口大に切って、カレー粉をまぶしておきます。

ニンニクの香りが立ったら、豚肉、シメジを加え、さらに水を切ったコメを入れて混ぜる。

ニンニクの香りが立ったら、豚肉、シメジを加え、さらに水を切った米を入れて混ぜる。

米をひたしておいた水1カップを加え、さらにパイロゲンを。

米をひたしておいた水1カップを加え、さらにパイロゲンを。

植物性タンパク質とビタミン豊富なヘルシーサラダ
塩豆腐とトマトのサラダ

【材料】(2人分)

木綿豆腐 1丁
塩 小さじ2杯
トマト 1個
ハチミツ 大さじ1杯
カイワレ大根 1パック

【調味料】
塩、コショウ 各少々
油 大さじ1杯
酢 大さじ1杯
パイロゲン キャップ1杯(約5.5ml)

【作り方】

  1. 木綿豆腐は、キッチンペーパーで水気をきり、塩を全体にまぶして30分ほど置きます。表面についた塩を拭いて軽く落とし、一口大にほぐします。
  2. トマトはひと口大に切ってハチミツをまぶします。カイワレ大根は、長さを半分にします。
  3. ボウルに材料を入れてさっくり混ぜ、調味料とパイロゲンをまぶして器に盛ります。
豆腐全体にまんべんなく塩をまぶして、30分置く。

豆腐全体にまんべんなく塩をまぶしてラップで包み、30分置く。

ひと口大に切ったトマトに、ハチミツをまぶしておきます。

ボウルで材料をざっくり混ぜて、調味料を入れたら仕上げにパイロゲンを。

ボウルで材料をざっくり混ぜて、調味料を入れたら仕上げにパイロゲンを。

 


星澤幸子(ほしざわ さちこ)さん

料理研究家。北海道南富良野町生まれ。札幌テレビ「どさんこワイド」の料理コーナー「奥様ここでもう一品」に25年毎日出演し、北海道の素材にこだわったお手軽な料理を紹介。その出演回数は現在もギネス記録を更新中。2009年「東久邇宮文化勲章」を受賞。著書は『あなたに贈る食の玉手箱』(ワニ・プラス)他多数。

星澤クッキングスタジオ公式サイト
http://www.hoshizawa-s.com