心に咲く花 98回 カーネーション

母の日や
三人の手にカーネーション
競って渡す笑顔は四つ ― あおぞら

【現代訳】
母の日に、三人のこどもたちが、われ先にとカーネーションを渡そうとしてくれている。そんな姿に三人の子どもたちと母である私の四つの笑顔の花が咲いている。

心に咲く花 2026年98回 カーネーション


スペインやモナコ、ホンジュラスなどいくつもの国花になっているカーネーション。ギリシャ神話やキリスト教の伝承にも登場し、献身的な愛情の象徴として、世界じゅうで愛されてきました。

「母の日」にカーネーションを贈る風習は、米国のアンナ・ジャーヴィスが亡き母を偲んで白いカーネーションを配り、祭壇に手向けたことが始まりだとされています。
彼女の母親のアン・ジャービスは乳児死亡率を下げる為の衛生改善、病気治療、母乳の汚染防止などに貢献した人でした。南北戦争では敵味方なく負傷兵の看護に尽力し、戦後は敵同士だった母親の親睦会を企画して、平和のためにできることを実践した人だったそうです。
いつしか、日本でもカーネーションは母に感謝の気持ちを贈る花として、定番となっていきました。

フリルのように波打つ花びらが重なり合い、見る人の心を明るく和ませてくれるカーネーション。色彩が豊富で、日本だけでも950種類以上の品種があるそうです。
赤いカーネーションの花言葉は、「母への愛」「深い愛情」「情熱」。ピンクのカーネーションの花言葉は、「感謝」「気品」「温かい心」。白いカーネーションの花言葉は、「純粋な愛」「尊敬」「亡き母を偲ぶ」とのこと。

今、世界最大のカーネーション生産国のひとつはコロンビアですが、これは反政府組織・麻薬組織と内戦をもたらした麻薬栽培に代わるものとして、現地政府が貧困対策のために栽培を推進したことによるものです。
実の母親はもちろん、今年は「母の日」のはじまりとされる、平和を愛したアン・ジャービスの歩んだ道のりにも思いを馳せながら、部屋にカーネーションを飾りたいと思っています。


田中章義(たなか あきよし)さん

歌人・作家。静岡市生まれ。大学在学中に「キャラメル」で第36回角川短歌賞を受賞。2001年、国連WAFUNIF親善大使に就任。國學院大學「和歌講座」講師、ふじのくに地球環境史ミュージアム客員教授も務める。『世界で1000年生きている言葉』(PHP文庫)の他、歌集『天地(あめつち)のたから』(角川学芸出版)、『野口英世の母シカ』(白水社)など著書多数。

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