三月の
君の手を引き歩きたし
右手にガーベラ握らせながら ― 立花 開(たちばなはるき)
【現代訳】
春を迎え、花々が咲き始める時期。君の手を引きながら歩きたい。君の右手にガーベラを握らせながら。
心に咲く花 2026年99回 ガーベラ
「ほがらかに咲く花」――そんなふうに呼びたくなるガーベラは花期が長いことで知られています。国内では4月から9月、あたたかい地域では11月頃まで咲きます。
見る人を自然と笑顔にしてくれる明るさが魅力のガーベラ。屈託のない小学生の笑顔のようなまぶしさがあります。
そんなガーベラの中でもフラワーショップで人気がある「ピンクガーベラ」は、3月の誕生花です。
単独でも、いろいろな花と組み合わせても明るくほのぼのとした気持ちにさせてくれるガーベラは、卒業式や入学式の時期、贈りものにぴったりな花なのかもしれません。
掲出歌は、第57回角川短歌賞を受賞した作者が、2021年に刊行した『ひかりを渡る舟』(角川文化振興財団)という歌集の1首です。実際のガーベラでも、「ガーベラ」に喩(たと)えたくなる“何か”を詠んだものかもしれません。
相聞歌(恋の歌)だと思って読みましたが、幼いこどもを詠んだ親の歌と読むこともできるのではないでしょうか。
「希望」や「感謝」「前進」などの花言葉をもつためか、この春、卒業したこどもたちも卒業式でガーベラの花をいただきました。陽射しをいっぱいに浴び、光り輝くガーベラを祖父もにこやかに見つめています。心まで明るくしてくれる小さな太陽――ガーベラはそんなふうに語りたくなる花でした。
南アフリカをはじめ、アフリカでもアジアでも野生種が見られるガーベラ。今では、世界じゅうに2000以上もの品種があるそうです。明るさもあたたかさもあるガーベラは、新たな道を歩みゆく人たちへの、大地からのエールなのだと思います。
田中章義(たなか あきよし)さん
歌人・作家。静岡市生まれ。大学在学中に「キャラメル」で第36回角川短歌賞を受賞。2001年、国連WAFUNIF親善大使に就任。國學院大學「和歌講座」講師、ふじのくに地球環境史ミュージアム客員教授も務める。『世界で1000年生きている言葉』(PHP文庫)の他、歌集『天地(あめつち)のたから』(角川学芸出版)、『野口英世の母シカ』(白水社)など著書多数。
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