星澤幸子の和食のチカラ 2025年9月- 10月 お米が主役のレシピ
秋の恒例、新米のシーズンはとにかくご飯を楽しむ
猛暑が一段落して、ようやく秋の気配が漂い始めました。この数年、新米が出回り始めるこの時期には、お米を楽しむレシピをご紹介してきました。私たち日本人の主食として、その食生活には欠かせない食材であるお米。新米の季節に、その瑞々しさや風味を再発見していただきたいと願ってのことでした。
今年もお米レシピにトライいたしますが、ひとつ心配なことがあります。それはお値段のことです。
昨年(2024年)の夏以降、お米の品薄状態が続いて、その価格は上がり続けました。総務省が出している数字(小売物価統計調査)によると、お米5kgの価格は、2年前の2023年10月が2123円(以下全国平均)だったものが、2024年10月には3473円、今年の8月には月にはなんと4657円になってしまいました。10年前の2015年10月には1853円だったのですから、その約2.5倍です。政府の備蓄米の放出で、いったんは価格が落ち着きましたが、ここにきて再び上昇しています。
ただでさえも、消費量が落ち続け、それに伴い国の長年の減反政策によって生産量も減ってきた状況で、この価格高騰です。日本人のお米離れにより一層、拍車がかかってしまうのではという懸念が頭から離れません。だからこそ、常に私たち日本人の食文化の中心にあったお米の大切さを、新米のシーズンに再認識してほしいのです。
じつはお米は栄養面でも優れた食材です。私たちの脳やからだの活動に欠かせないブドウ糖に分解される炭水化物に加え、ミネラルやビタミンも含まれています。お肉、お魚、野菜や海藻など、タンパク質や脂質、ビタミン、ミネラルを含む食材と組み合わせることで、栄養面でパーフェクトな一食が期待できるのです。
今回は、一見手間がかかりそうなごちそうメニューを、ちょっとしたひと工夫でお手軽レシピに変身させてみました。焼き鳥の缶詰を使った「簡単焼き鳥おこわ」と、カレーを煮こまない「即席焼きカレー」です。暑さが落ち着いたこの時期、秋の実りに感謝しながら、お米のおいしさを存分に味わってください。
焼き鳥の缶詰を使った簡単&豪華なおこわ
簡単焼き鳥おこわ

【材料】(4人分)
もち米、うるち米 各1合(計2合)
焼き鳥缶詰 1個
干しシイタケ 2枚
(干しシイタケのもどし汁は炊飯と調味料に使います)
水+干しシイタケのもどし汁 1.5合
タケノコの水煮 100g
ショウガ 1片
油 大さじ1杯
青しそ 適量
【調味料】
しょうゆ 大さじ1杯
塩 小さじ1/4杯
酒 大さじ1杯
シイタケの戻し汁 大さじ3杯
パイロゲン キャップ1杯(約5.5ml)

【作り方】
- もち米とうるち米を合わせ、炊く15分前にとぎ、ひたひたの水に浸しておきます。干しシイタケを戻して薄切りにし、戻し汁はとっておきます。タケノコは食べやすい大きさに切り、ショウガは千切りにします。
- 水に浸しておいたもち米とうるち米に、干しシイタケの戻し汁と適量の水を足し、さらにパイロゲンを加えて炊飯します。
- フライパンに油を熱し、焼き鳥缶1個を汁ごと入れて、干しシイタケ、タケノコ、調味料を加え、汁気が無くなるまで火を通し、味をしみ込ませます。
- お米が炊き上がったら、③の具を入れてすぐに全体を混ぜ合わせ、器に盛り、お好みで青しそを千切りにしてあしらいします。

もち米、うるち米はといだ後、15分間、ひたひたになるくらいの水に浸しておく。

お米を炊く前にはパイロゲンを忘れずに。

焼き鳥などの具材は、汁気がなくなるまで火を通して味をしみこませる。

炊きあがったご飯に、具を入れてすぐに混ぜ合わせる。
お手軽ごちそうカレー
即席焼きカレー

【材料】(2人分)
ご飯 2膳
ベーコン 2枚
タマネギ 1/2個
ニンニク 2片
ショウガ 1片
ピーマン 1/2個
油 大さじ1杯
小麦粉 大さじ1杯
カレー粉 大さじ1杯
【調味料】
ケチャップ 大さじ1杯
ウスターソース 大さじ1杯
塩 小さじ1/2杯
パイロゲン キャップ1杯(約5.5ml)
水 カップ1杯
シュレッドチーズ 40g

【作り方】
- ベーコンは5mm幅に切り、タマネギは千切り、ニンニクは潰して小口切り、ショウガとピーマンも千切りにします。
- フライパンに油を熱して、ニンニク、ショウガ、タマネギ、ベーコンを炒めてから蓋をして蒸し焼きします。
- タマネギがしんなりしたらカレー粉、小麦粉を加えて炒め合わせ、調味料と水、さらにパイロゲンを入れてトロみがつくまで加熱。火を止める少し前にピーマンを入れます。
- 耐熱容器にご飯を入れ、③のカレーをかけます。シュレッドチーズをのせてオーブントースターで焼き色がつくまで焼きます。

ベーコンなどカレーの具材を切りそろえておく。

タマネギがしんなりして透き通ってきたらカレー粉を入れる。

パイロゲンを入れて、トロみがつくまで加熱する。

ご飯にカレーをかけ、その上からシュレットチーズをのせる。
星澤幸子(ほしざわ さちこ)さん

料理研究家。北海道南富良野町生まれ。札幌テレビ「どさんこワイド」の料理コーナー「奥様ここでもう一品」に25年毎日出演し、北海道の素材にこだわったお手軽な料理を紹介。その出演回数は現在もギネス記録を更新中。2009年「東久邇宮文化勲章」を受賞。著書は『あなたに贈る食の玉手箱』(ワニ・プラス)他多数。
星澤クッキングスタジオ公式サイト
http://www.hoshizawa-s.com