出汁を取るだけじゃもったいないスーパー食材

星澤幸子の和食のチカラ 2022年12月-2023年1月 昆布を食す


世界遺産にもなった和食。その神髄は出汁にあると思います。そして、出汁に欠かせないのが今回取り上げる食材の昆布です。その漁獲高はわが愛する北海道が圧倒的なシェアで、全国の95%以上を占めています。

昆布の旨味成分はグルタミン酸というアミノ酸です。かつお節に含まれるイノシン酸との相乗効果でグンとおいしくなることが知られています。お鍋のシーズンですから昆布で出汁をとる機会も多いと思いますが、出汁をとって捨ててしまってはもったいないほど、じつは栄養豊富かつ低カロリーでヘルシーな食材なのです。

まず注目は、水溶性食物繊維。あのぬめりの成分であるフコイダンやアルギン酸などの水溶性食物繊維は、気になる糖質や脂質の吸収を抑えてくれます。また、腸内の不要なものをからめとりながら体外に排出してくれるので、便秘の予防効果も含めて女性にはうれしい成分です。さらに、フコイダンには免疫力を高めてくれる効果まで期待できるのです。
昆布といえばその色は褐色です。その色素成分であるフコキサンチンにも見逃せない効果があります。なんと体脂肪の燃焼を促し、余分な脂肪の蓄積を防いでくれます。さらには、高めの血糖値まで下げてしまうのです。

そして、カルシウム、カリウム、鉄分、ヨウ素といった、どれも身体にとって欠かせない重要なミネラルがふんだんに含まれており、古くから昆布を大切にしてきた先人の知恵には脱帽ですよね。

今月は、その昆布をおいしくいただくレシピをご紹介します。油で揚げてヘルシーな豆腐ディップをつけてスナック感覚で楽しむ「パリパリ昆布の豆腐ディップ」、そしておせちに入れてもOKの「豚肉昆布巻き」です。

ご家族とご自身の健康のためにもぜひ、昆布のメニューを食卓に取り入れてください。

このページでご紹介するレシピ


スナック感覚で楽しむヘルシーメニュー
パリパリ昆布の豆腐ディップ

【材料】(4人分)
昆布 30cm×2本/揚げ油 適量/カイワレ大根 1/2パック/木綿豆腐 1丁/粒マスタード 大さじ2杯/味噌、マヨネーズ 各大さじ1杯/パイロゲン キャップ1杯

【作り方】

  1. 昆布は温めて柔らかくしてから、ハサミでひと口大に切ります。
  2. 高温の油で膨らむまで揚げ、油を切ります。
  3. 豆腐ディップに使う木綿豆腐は、布巾に包んで重石をしてしっかり水切りします。ボウルに木綿豆腐と調味料、パイロゲンを入れて滑らかになるまでしっかり混ぜます。
  4. 器に盛って、カイワレ大根をあしらい昆布に豆腐ディップをつけながらいただきます。

昆布がふくらんでくるまでが揚げる目安。

木綿豆腐は布巾やキッチンペーパーに包んで重石をして水気をきる。

ディップの仕上げにはパイロゲンを入れ、滑らかになるまでしっかり混ぜて。

お正月の食卓がいっそう華やかに
豚肉昆布巻き

【材料】(4人分)
早煮昆布 (20cm)×8本/豚もものかたまり肉 200g/かんぴょう 約2m/水 カップ2杯/てんさい糖 大さじ4杯/しょうゆ 大さじ2杯/酒、水あめ 各大さじ2杯/パイロゲン キャップ1杯

【作り方】

  1. 昆布は水でサッとすすいでから水に浸して戻し、4等分に切ります。かんぴょうは水で洗ってから塩もみして、塩を洗い流します。
  2. 豚もも肉は昆布の幅に合わせて1cm角に切ります。昆布を巻き、かんぴょうで2重に縛ります。
  3. 鍋に昆布巻きと分量の水を入れて火にかけ、10分程煮ます。調味料とパイロゲンを加えて落しブタをしてゆっくり煮ます。
  4. 竹串がスッと刺さるようになったら煮汁を煮詰めてツヤを出します。

かんぴょうは水で洗ってから塩もみ。

豚もも肉は昆布の幅に合わせて1㎝角に切る。

調味料を入れるタイミングでパイロゲンを。


星澤幸子(ほしざわ さちこ)さん

料理研究家。北海道南富良野町生まれ。札幌テレビ「どさんこワイド」の料理コーナー「奥様ここでもう一品」に25年毎日出演し、北海道の素材にこだわったお手軽な料理を紹介。その出演回数は現在もギネス記録を更新中。2009年「東久邇宮文化勲章」を受賞。著書は『あなたに贈る食の玉手箱』(ワニ・プラス)他多数。

星澤クッキングスタジオ公式サイト
http://www.hoshizawa-s.com


レシピ撮影/大滝恭昌