新そばのシーズン到来

星澤幸子の和食のチカラ 2022年10月-11月 そば


秋に収穫された新そばは秋そばとも呼ばれ、その登場を心待ちにするそば好きの方も。旬ならではの風味と香りが堪能できるのですから、その気持ちもわかります。

そばは日本全国で生産され、越前そばや出雲そばなど、それぞれの土地の風土に合った独特のそばが楽しめます。

そばの生産量は、わが北海道がナンバー1で、そのシェアはじつに国内生産量の43%。新得そばや、鉄道ファンに有名だった真っ黒な音威子府(おといねっぷ)そば(駅構内のお店は残念なことに2021年に閉店)をご存じの方も多いのでは。

そばは、白米と比べて低カロリーで高たんぱく。血糖値の上昇についての指標であるG1値も低く、ダイエットに最適な食材です。
また、ポリフェノールの一種であるルチンを、穀物の中で唯一含んでいます。抗酸化作用に優れたルチンは、傷ついた毛細血管を修復し丈夫にします。その結果、血流がよくなり、血圧を下げる効果が期待できるのです。脳卒中や動脈硬化の予防に大いに役立つ栄養素です。
ビタミンB1やB2、そしてカリウム、マグネシウム、リン、鉄などのミネラルも含まれており、その上、食物繊維も豊富。まさに日本が誇るヘルシー食材です。

栄養面を考えると、スーパーなどで乾麺を選ぶ際は、そば粉を多く含んだものを選ぶといいでしょう。「十割そば」は、つなぎなしのそば粉100%、「二八そば」は、2割がつなぎの小麦粉です。パッケージの食品成分表示は、その割合の多い順に記されています。まずは、そば粉が先頭に表示されているものを選んでみてはどうでしょう。

今回は一風変わった、そばのレシピを紹介します。どちらも秋を堪能できるお料理です。その風味で季節を感じて、心が豊かになり、旬ならではの豊富な栄養素で体もよろこぶことでしょう。

このページでご紹介するレシピ


食べ応えあるつけ汁でいただく
秋の鶏野菜せいろ

【材料】(2人分)
そば 2人前/鶏もも肉 1/2枚/ナス 1本/長ネギ 1本/ミニトマト 6個/油 少々
だし汁/水 カップ1・1/2杯/鮭節 ひとつかみ/しょうゆ、みりん 各大さじ2杯/パイロゲン キャップ1杯

【作り方】

  1. そばは茹でて水でしめ、ザルに盛ります。
  2. 鶏もも肉は一口大に切ります。
    ナスは縦半分に切り、皮目に隠し包丁をして、ひとくち大に切ります。
    長ネギは千切りに、ミニトマトはヘタを取っておきます。
  3. 鍋に油を熱して、鶏肉を炒め、油が出てきたらナス、長ネギ、ミニトマトを加えて炒めます。
  4. ❸に水と鮭節、調味料、パイロゲンを加えて、軽く煮立たせます。お椀に盛り、そばをつけながらいただきます。

鶏もも肉は一口大に切る。

鍋で炒めた鶏肉から油が出てきた段階で、野菜を入れる。

つけ汁の仕上げにはパイロゲンを。

「お米の代わりにそば」でヘルシー巻き寿司
そば寿司

【材料】(2人分)
そば乾麺 150g/酢 大さじ2杯/てんさい糖 小さじ1杯/塩 少々/パイロゲン 小さじ1杯/焼き海苔 2枚/キュウリ 1本/卵 1個/塩、てんさい糖 各ひとつまみ/油 少々/カニカマボコ 60g

●お好みで
しょう油、ワサビ 適量

【作り方】

  1. そばは半量ずつ端を糸で結び、熱湯で茹でて水でしめ、しっかり水切りします。キュウリはヘタと根元の硬い部分を切り取り、千切りにします。卵は、塩、てんさい糖を混ぜ、油を熱したフライパンで炒り卵にします。カニカマボコはほぐしておきます。
  2. 水切りしたそばに、合わせた調味料とパイロゲンをまわしかけます。時々ひっくり返しながら5分ほどおいて味をしみ込ませてから、ザルにあけて再び水切りします。
  3. 巻きすに海苔をおき、そばの糸で結んだ部分を切り離して海苔の向こう端3~4cmを残して並べます。その上に、切った材料の半量を並べます。
  4. 海苔と巻きすの手前を合わせて巻きます。キッチンペーパーで巻いて、海苔の巻き終わりを下にしておきます。もう1枚も同様に巻きます。
  5. 食べやすい大きさに切り、お好みでしょうゆとワサビをつけていただきます。

そばは茹でる前に半量ずつ、その端をひもで縛っておく。

茹でて水切りしたそばに、調味料とパイロゲンを染み込ませて。

巻きすと海苔の両端をおさえながら巻く。


星澤幸子(ほしざわ さちこ)さん

料理研究家。北海道南富良野町生まれ。札幌テレビ「どさんこワイド」の料理コーナー「奥様ここでもう一品」に25年毎日出演し、北海道の素材にこだわったお手軽な料理を紹介。その出演回数は現在もギネス記録を更新中。2009年「東久邇宮文化勲章」を受賞。著書は『あなたに贈る食の玉手箱』(ワニ・プラス)他多数。

星澤クッキングスタジオ公式サイト
http://www.hoshizawa-s.com


レシピ撮影/大滝恭昌